【その2 もんもんとする日々】

 車の性能を語る時にパワーウエイトレシオという言葉が使われることがあります。
車両重量を最大馬力で割った値ですが、かのフェラーリF40の場合1100kgの車両に
478PSの3リッターV8ツインターボですから、パワーウエイトレシオは2.3kg/PSという
ことになります。国産車でいうと、トヨタの280PSのアリストで6kg/PSで、Caterham 
Super7の場合1700ccのBDRチューンエンジン(180PS)を搭載した車種では、
3.2kg/PSという尋常でない値を示します。フェラーリの中でも最強の部類に属するF40
やF50にはかないませんが、それ以外の車種には肉薄する値です。当時BDRを搭載
したSuper7のプライスは500万弱だったと記憶していますが、信号ダッシュでは他の
オーバー1000万車を軽くあおる性能を持っていました。
この性能もひとえに車重が限りなく軽いことによります。BDRを搭載した当時のSuper7
の車重は580kgでした。現在のモデルでは、150PSの1600ccエンジンに470kgの車重、
パワーウエイトレシオは3.1kg/PSなんてものもあります。この軽量シャーシを生かした
生き物は、サーキットやワインディングロードで真価を発揮します。
ひとたび「2シーターオープンライトウエイトスポーツ車ほしい症候群」に感染すると、いろ
いろな新車がでるたびにパワーウエイトレシオを求め、3.2、3.2、3.2と呪文のようにうつら
笑う日々が続き、タミヤのプラモデルを組み立てながらいつか自分が走り回る日を思い
浮かべるのでした。私はエンスーではありませんので、ロータスの「エラン」、「ヨーロッパ」
などのかつての名車を手に入れ、維持することもままなりません。ましてSuper7のみを
保持して、買い物、旅行、通勤のすべてをまかなう根性もありませんでした。ずるずると
ホンダ車にはまっていく日々が続きます。
つづく...
1998年5月27日

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