【その4 勇気ある決断】

  1997年7月の休日、東京駅八重州口を通りかかった時、「そう言えばこの近くに
紀和商会があるな。よって行くか」、と思い立ち紀和商会を訪れたのでした。
紀和商会は、Super7の日本総代理店です。しかし、その日は休業日で、ガラス越し
にセブンが見えるだけ... 実はこれが勇気ある行動への引き金となったのです
(いわゆる何かが私の中で弾けたってやつです)。各種雑誌を買い集め(私の購買
意欲が高まる時、まずカタログ集めから入ります)、枕元は車雑誌、それもその手の
ものが山と積み上げられていくのでした。そんな雑誌の中に彼女を見つけたのは、
9月も半ばを過ぎたころ。DINOを彷彿とさせるフロントのデザインとキュートなリア。
もうセブンなんか煤けししまいました。そう彼女の名はLOTUS ELISE.。


700kg弱の軽量なリアにローバーKシリーズ1800ccを搭載し、最大118PSを発生する。
ロータスの伝統を継承するアルミフレームは接着剤を使用して軽量化が図られ、ブレーキ
ロータさえもアルミをおごる。タイトなコックピットは乗員2名を包み込み、ハンドルを握る
ポジションは一種独特の雰囲気をかもし出す。エクセル、エスプリ、2代目エランと
ライトウエイトを忘れてしまったと思っていたLOTUSが1996に発表した、久々のLOTUS
らしい車です。10月の上旬、初めてMs.Eliseと対面したのは、上野毛にある並行輸入
ショップ。ボディサイズ、タイトだがドライブフィールを損ねることの無いコックピット、
ドライバーの心をくすぐる小さめなハンドルと、絶妙なポジションにあるシフトノブ。
あー、もうEliseしかない。1週間の間Eliseに関する資料を集め、夜毎読みふけった末、
翌週たまらずオーダー。運良く左ハンドルであれば、11月の上旬には納車可能とのこと。
巷では、長い間Eliseとの対面をお預けされてる人もいるというのに、なんてラッキー。
 私が、オーダーしたのは、ブリティッシュレーシンググリーンにブラックトップ、そして
ベージュのシートという一般的な組み合わせ。ラジオとMDは装備されているが、もちろん
エアコンはない。屋根付き車庫を持てない身としては、ボディカバーとボディ保護処理の
オプションを選択。そして、1997年11月吉日ついに納車。対面の日、年甲斐も無く妙に
興奮し、これまでの新車納車とはかなり違う緊張間が漂う。一通り説明を受けた後、
イグニッションキーをひねるが、排気音は背中のエンジンノイズにかき消されて身を乗り
出さないと聞くことができない。その日は晴れ、つまりもちろんオープン状態で発進。
低速トルク重視のKシリーズは、思いのほか発進が楽チンで、せかすようなシフトを
要求されるTYPE R以上に乗りやすい。初めて経験するひざ上ほどの視点に馴れるの
にしばし戸惑うが、やはりオープンはいい!! 非日常的な空間が、私をハイな世界へ
といざなう。「おー、念願の夢がついにかなった」、環8を走りながら悦に浸る私だったが、
しばらくして異常に気づく。「スピードメーターが回ってない」。タコは回ってるが「距離計、
スピードメータ」が動作してないので、路肩に寄せて見たものの何が悪いのかも分から
ず、とりあえずショップへ引き返す。ショップでの対応はごく控えめで「では、ちょっと拝見」
といた感じで、左リアの内側をごそごそとやって、「このソケットが外れることよくあるんです」と、
その場所を見せられる。「おいおいコンなんで大丈夫なのかいな」が第一印象でしたが、
とりあえずその日は無事帰宅。

このようにして私の「2シータオープンライトウエイト車欲しい症候群」は完治へと
向かうのでした。この続きはElis日記でお知らせします。
1998年6月2日

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